相続登記が義務化された背景とは

遺産相続によって新たに土地や住宅などの不動産を取得した者が、所有権が移転した旨を登記することを相続登記といいますが、この相続登記については近年、取り扱いが大きく変更されることとなりました。それは、登記を申請することが法律によって義務化されたことです。義務化の具体的な内容は、相続によって不動産を取得した者は、その旨を3年以内に登記しなければならないというものです。施行は2024年4月1日からですが、この規定は過去にさかのぼって適用されるので、すでに取得済みの不動産についても施工日から3年以内に手続きする必要があります。

このようなルールが設けられた背景には、2011年に起きた震災による被害があります。地震や津波によって大きな被害を受けた地域はすみやかな復旧・復興を図る必要がありましたが、所有者不明の土地がたくさんあったためにスムーズに計画を進めることが非常に困難でした。これにより、登記簿上における不動産所有者の情報が常に最新の状態になっている必要性が痛感されたのです。ともあれ、相続登記の義務化はその物件の所有者にもメリットをもたらします。

遠方にある山林を相続したがそのまま放置していたら第三者に不法占拠された、などのトラブルが発生した場合、登記が行われていなければ自分が正当な所有者である旨を裁判などの場で主張できません。義務化が実施されれば、忘れずに手続きを済ませるための強い動機付けが生まれます。

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